校長挨拶
『あなたの夢はなんですか?』
私が夢を持ったのは、12歳のときです。それは「小学校の先生」になることでした。
私はそこからずっと夢に向かって学び続け、福岡教育大学を経て22歳で小学校の先生になったのです。
そして、30年間教師を務め、様々な子どもたちと出会ってきました。
一年生から六年生までの全学年の担任をして出会った子どもたち、日本語教室に通う帰国子女の子どもたち、福岡市のこども病院にある院内学級の子どもたち、特別支援教育コーディネーターとして支援した通常学級の困り感をもつ発達障害の子どもたちなど…。
これまで多様な子どもたちと出会ってきましたが振り返ってみると、私が出会った子どもたちは、みんな明るく元気いっぱいでした。
そんな毎日充実した教師生活で定年まで続けよう思っていた矢先、46歳で病気になってしまいました。幸い治療のかいがあって現場に復帰できました。
しかし、学校現場は常にハードで過労が重なり再び倒れてしまいました。
子どもの笑顔と命を守る以前に、自分の命さえ守れないと思い、52歳の時に早期退職を決断しました。
それから、自分の身体は自分で守ろうと、カキラリスト(健康体操の指導者)になったり、びわ灸師になったり、健康に関する様々なことを学び自分の生活に取り込んできました。
夫も22年間の教師生活を経て先に独立し、一人芝居教育講演家となり、また兼業で「子どもの学び館」という塾を経営していました。
そして、私は退職を機に夫に代わり子どもの学び館の館長となり、小学生の学習を指導することになりました。
そんなあるとき、学び館に不登校の子がやってきて学習を教えることになりました。すると、その子が「ここでなら毎日きて勉強できる!ここが学校だったらいいのに…」と言いました。私たちはその子の言葉に動かされ、子どもの学び館をフリースクールとして出席扱いにできないか、その子の通う学校の校長先生に尋ねたところ出席認定をしてもらうことができました。
その子は一ヶ月ちょっと学び館に通うと自信をつけて新しい学校では登校出来るようになりました。今では海外に留学したりと自分の夢に向かって学び続けています。
これがフリースクールとしての学び館の最初の出来事でした。ただし、これは臨時のフリースクールとして活動で一度きりのことだと思っていました。
しかし、その子が学び館を去ってからも、夫は一人芝居教育講演家として活動しているため、講演や芝居をする度に不登校に関する相談が来ました。
それまでは不登校になる子はごく少数だと思っていましたが、学校現場から離れてからたくさんの不登校に関する教育相談を受け、こんなにも多くの人が不登校で悩んでいることに驚きました。そして、教育相談を受ける度に段々とこれからの時代に沿った新しい多様な学び場が、今、必要とされているのではないかと考え始めました。
「学び合うこと・新しいことを知ること・成長することは本来とても楽しく、嬉しいはずなのに、どうしてこうなってしまったのだろうか?」
「1人1人の子どもの個性を伸ばすような教育ができれば、子どもたちは笑顔になり、そして、その親御さんも笑顔で毎日を過ごせるようになるのではないか?」
そう思い始めてからは居ても立っても居られなくなりました。
やらなくて後悔するよりまずは行動しながら考える性格の私は58歳のとき一念発起し、N P O法人としてフリースクールを設立ことを決断しました。
人生100年時代と言われ始め、老若男女問わず0歳から100歳までの『みんな』が学び合うことを楽しめる場にしたいという想いを込めて『NPO法人みんなの学び館』としました。
そして、2019年4月に二人の子どもたちと共に「フリースクールみんなの学び館」をスタートしました。
未来の可能性に溢れている子どもたちのそばにいて共に学べる毎日はとても充実して楽しいです。子どもたちが自分の未来を自分の意志で選択し、行動し、そして、毎日を幸せに過ごせるように私たちは全力でサポートします。
そして、誰もが学び合える場、安心して間違うことのできる場、何度もチャレンジできる場を私たちは『みんな』と共に作っていきます。
ご協力よろしくお願い致します。
NPO法人みんなの学び館フリースクール校長 福永千恵美